日本は戦後長い間、スクラップアンドビルドを繰り返してきました。しかし、2005年から始まった人口減少や地球規模での環境問題への対応、さらにまた、巨大化した建築産業の再編成までを考えると、既存の建物をリノヴェーションやコンヴァージョン(転用)などによって再活用することは、今後ますます大きな流れとなっていくでしょう。ドイツDETAIL編集による特集「リノヴェーション/コンヴァージョン」では、ドキュメンテーションコーナーで、ドイツ、スイス、イギリス、スペイン、ポルトガルなど、この分野での欧米先進国の事例を選び出し、その実際を詳細図面を交えて紹介、また、ディスカッションコーナーでは、ドイツやフランスの事例を取り上げながら、歴史的建造物の保存への取り組みなどをリノヴェーションやコンヴァージョンの視点から考察します。
日本独自で取り上げた作品は、椎名英三建築設計事務所+梅沢建築構造研究所「IRONHOUSE」と五十嵐淳建築設計「光の矩形」の2つ。今回は、ともにデザインのプロセス紹介も行っています。「IRONHOUSE」は、構造家の梅沢良三氏のご自宅。コールテン鋼のサンドイッチパネルによる内外の壁がつくりだす表情と、10坪ほどの外部空間=「アウタールーム」をうまく取り込んでつくり出された空間(特に地下1階部分)が印象に強く残る作品となっています。「光の矩形」は、クライアントの「カーテンを閉めなくても良い窓」というリクエストに応じて作成された入れ子状のプランを経てつくり出されました。中央の大きな吹抜け空間に光をもたらす南側の光の装置=開口がこの住宅特有の空間の質をつくり出しています。
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